PA(MCナイロン/ポリアミド)とは
PA(ポリアミド)は重要な合成樹脂の一つです。一般的なPAのMCナイロン(モノマーキャスティングナイロン)は、ナイロンの一種で、モノマーを直接型に流し込み、重合反応を進行させるキャスティング法で成形されるポリアミド樹脂です。主成分はナイロン6(ポリアミド6)で、その化学式は (C6H11NO)n です。 特徴は各種グレードがあり多岐に渡りますが、主に耐摩耗性、機械的強度、耐薬品性、耐熱性に優れている一方、吸水率が高いことが挙げられます。こうした特性を活かし、機械部品やギア、ベアリング、滑り軸受けなどの産業用途に広く利用されています。また、加工性が高く、切削加工や成形時の形状の自由度が大きいことも利点です。
PA(MCナイロン/ポリアミド)の特徴
MCナイロンは、主に機械部品として使用されるエンジニアリングプラスチックで、その特性をさらに強化するために多くの種類・グレードが存在します。以下に代表的な種類・グレードを説明します。
MC901/MC900NC
耐衝撃性と耐摩耗性に優れた青色のMCナイロンです。機械的強度が高く、低温でも粘り強さを維持します。主に歯車、軸受け、ローラーなどの機械部品に使用され、高い耐久性が求められる用途に適しています。また、自己潤滑性があるため、メンテナンスが容易です。
MC602ST
MC703HLは、耐熱性と機械的強度をさらに向上させたグレードで、高温環境下での使用に優れています。耐熱性が必要な部品や高負荷の条件下での使用に適しており、産業機械やエンジン部品に利用されます。色はグレーで、特に高温の場面での信頼性が高いです。
MC703HL
低摩擦特性と優れた耐摩耗性を兼ね備えたグレードで、自己潤滑性が高く、潤滑剤なしでの使用が可能です。滑りやすさが要求される部品、例えばスライダーやガイドなどに使用されます。
MC501CDR2
MC501CDR2は、導電性に優れたMCナイロンで、静電気対策が求められる用途に適しています。電気絶縁性が抑えられており、電子機器や半導体製造装置で使用されます。
MC501CDR6
MC501CDR6は、より高い導電性を持つMCナイロンで、静電気防止が重要な環境での使用に最適です。強度と耐摩耗性も備え、精密機器の部品として使用されます。
MC501CDR9
MC501CDR9は、最高レベルの導電性を持ち、極めて厳しい静電気対策が必要な場面に適しています。耐久性も高く、最先端の電子機器やクリーンルーム環境で活躍します
PA(MCナイロン/ポリアミド)の特徴
PA(ポリアミド)は、多様なグレードによって多くの特性を持つ樹脂ですが、一般的に強度と耐久性に優れ、様々な産業で広く使用されています。グレードごとの特徴としては、一つには高い耐摩耗性であり、摩擦や摩耗に対して優れた性能を発揮します。また、耐熱性にも優れており、高温下でも安定した性能を維持します。さらに、優れた電気絶縁性を持ち、電気部品や配線などのアプリケーションにも広く使用されています。加えて、比較的軽量でありながら強度があり、設計の自由度が高いため、様々な形状や用途に適応することができます。PAは、機械部品や構造部品、工業製品などの製造に広く利用されています。
PA(MCナイロン/ポリアミド)の特徴 一覧表
耐熱性 | 耐薬品性 | 潤滑性 | 電気絶縁性 | 防湿性 | 耐寒性 | 紫外線 | 吸水性 | 成形性 | 接着性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
⚪︎ | ◎ | ◎ | ◎ | × | ◎ | ⚪︎ | × | ◎ | × |
機械的強度 | コスト |
---|---|
◎ | ⚪︎ |
グレードから素材の性質を調べたい方はこちら
PA(MCナイロン/ポリアミド)のメリット・デメリット
PA(MCナイロン/ポリアミド)のメリット・デメリットを簡単にまとめました。
素材ごとに性質や価格が異なるため、メリットとデメリットを正しく知った上で最適な素材を選択することが大切です。
PA(MCナイロン/ポリアミド)加工のメリット
MCナイロン(モノマーキャスティングナイロン)は、高強度と耐摩耗性が特徴のエンジニアプラスチックです。多様なグレードがあり、それぞれに優れた特性をもつことが特徴です。一般的なメリットとして、軽量で金属の代替品として利用されるほど耐衝撃性に優れています。また、自己潤滑性があり、摩擦を減らすためメンテナンスが容易です。さらに耐熱、電気特性などの性能を有するグレードもあり、これらの特性により、機械部品、ベアリング、ギアなどの製造に広く使用されています。
PA(MCナイロン/ポリアミド)加工のデメリット
PAは高温になると溶けやすく、加工する際に適切な温度管理が必要です。加熱しすぎると品質が損なわれる可能性があります。また、湿気を吸収しやすい性質があり、湿気が加工プロセスに影響を与えることがあります。さらに、PAを加工する際には比較的高い圧力が必要であり、機械の設定や操作に慎重さが求められます。
PA(MCナイロン/ポリアミド)とよく比較される素材
PAに似ている樹脂材料として、ポリプロピレン(PP)を取り上げます。両者はいくつかの点で類似していますが、それぞれの特徴を比較します。 まず、PAは耐摩耗性や機械的強度に優れており、機械部品や耐久性が求められる用途に適しています。一方、PPも機械的強度があり、耐久性がありますが、PAほど高い耐摩耗性は持ちません。 また、PAは化学的に安定しており、耐熱性や耐寒性もありますが、PPは一般的にPAよりも耐熱性に劣ります。しかし、PPは比較的低コストで製造され、加工性が良いという利点があります。
PA(MCナイロン/ポリアミド)加工を採用するのにお勧めのシーン
どんな時にMCナイロンを採用すべきかを簡単にまとめました。
ギア、ブレーキ部品などの耐久性が必要な部位
耐熱性があり、電気絶縁性が求められるプラグなど
軽量で耐久性が求められるスポーツ用具など
医薬品容器など、耐薬性が求められるとき
導電、帯電防止性が必要な半導体・精密機械
PA(MCナイロン/ポリアミド)加工のポイント
加工の際のポイントをまとめました。
目的達成のために最適な素材を選択する
今回の加工における目的達成のためにPA(MCナイロン)が最適かを判断しましょう。「材料費が安価で手に入りやすいため、MCナイロンだと一番コストダウンできる」と短絡的に考えると失敗することがあります。加工のしやすさや加工条件など、トータルで評価することが大切です。
欲しい精度や品質に最適な加工方法を選択する
加工方法は、望んだ精度や品質が実現できる手法を選びましょう。もっとも精度を高めたい場合は、切削加工がお勧めです。
品質に注意して加工業者を選択する
特にMCナイロンの場合は、バリ取りや面取りの品質や表面に傷がついていないかなど、素材の性質に合わせた後処理がきちんとなされているかチェックしましょう。加工部分の小さなひげが寸法を狂わせる原因となることも多いため、丁寧な仕事をする先を選ぶと安心です。 また、寸法や穴径などの納品前検査が精密になされているかも確認しましょう。
F・S・のPA(MCナイロン/ポリアミド)加工の特徴
F・S・エンジニアリングのPA加工の特徴をまとめました
FEATURES
精度の高い加工が実現する
PA(MCナイロン)の性質を考慮した設計、加工を行うため寸法に狂いが生じにくいのが特徴です。 微細加工機、マシニングセンター、NC旋盤など豊富な工作機器を使い、最適な手法・速度・回転数で加工を行います。
FEATURES
バリに強い
高い切削技術により、バリの発生を抑えた加工を実現します。バリが生じた場合にも速やかに適切に処理をすることで、高品質な樹脂パーツ、治具の納品に努めています。
FEATURES
パーツ1つからご相談が可能
高い精度の要求を可能にする切削加工の場合は、最小1個から承ることが可能です。素材や設計の変更、微調整、試作品としてなど「1個、精度の高い樹脂加工部品を手に入れたい」というお客様のお力になれます。
加工実績
食品加工・半導体・医療など、各分野のニーズを捉えた当社の加工実績をご紹介します。
汎用プラスチック
汎用プラスチック素材に関するご案内です。
※その他にもSPS・PMPなどさまざまな素材の取り扱いがございます。
汎用エンジニアプラスチック
機械的強度や耐熱性などに優れた特性を有する汎用エンプラ素材に関するご案内です。
※その他にもSPS・PMPなどさまざまな素材の取り扱いがございます。